神尾寿の時事日想: ハイブリッド、環境ディーゼル、直噴+過給器――自動車メーカーの模索は続く(ITMedia記事より)

これは一見鉄道やバスなどとは関係なさそうにも思えるが何故取り上げたかと言うとこの下りがあったからである。

「・・・・・フォルクスワーゲンはTSIの狙いを「環境性能」に定めた。ツインチャージャーで出力とトルクを向上させながら、エンジンの排気量をこれまで主力だった1.8〜2リットル(コロナレベル)から1.4リットル(カローラレベル)に縮小。結果として、“高出力と低燃費”(と自動車税の低減)を同時に実現したのだ。エンジン排気量の拡大が進む中で、この「ダウンサイジング」は異例の取り組みといえる。」とあるのだが実は乗用車より先に日本のバス・トラックメーカーは最近になって急激にそういった流れに傾いてきているからだ。

具体的に言うと今の観光・高速バスや大型トラックで15リッター以上(主に22リッター前後)のV8、V10ディーゼルエンジンをラインナップの中に見つけるのはとても難しくなった(と言うより殆ど無い)。エンジンの排気量はダウンサイジングして、大体13リッター前後の直6エンジンが日本の主要バス・トラックメーカー4社の製造しているディーゼルエンジンでは最高レベルなのではないだろうか。

だからといって出力が落ちた訳ではない、寧ろトルク以外のスペックは同じか向上しているのである。
13リッター前後の直6エンジンで一昔前の22リッターV10エンジン並みの380〜420馬力、物によっては460〜480馬力を軽く出せる性能になってきている。今では車両総重量25tの大型トラックでも何と約9リッターのエンジンで引っ張っていってしまう時代なのである。バスに至っては都営バス他、各地の公営交通系事業者や大手私鉄系バス事業者が挙ってU-代以前旧車代替で買い求めているPJ-LV(KV)234系のバスは何とあのダッジ・バイパー(約8リッター)よりも排気量が低い(約7.8リッター)。

それを可能にしたのはインタークーラーターボチャージャー付きのディーゼルエンジン、しかも今までのターボ付きエンジンのイメージがまるで無いエンジンが主流になったからである。これによって、エルガでは対KL-車比で排気量が半分近くにまで減ってもトルクはともかく、馬力は今までと遜色ない水準を保ちながら、排気量が減った事で結果として低燃費&低公害化を果たせたのである。

ちなみに最近のバスの出力はエンジン自体の出力(グロス値)ではなく、車両に搭載されて動いているのと同じ状態(ネット値)で出力を計測するらしいのだがそれでみると意外とPJ-LV(KV)234系のバス(に限らず、日産ディーゼル&三菱ふそうエアロスターSのFRIENDSエンジンもそうだが)ってハイパワーなのね(こちら。)。